2011年10月4日火曜日

シャッター通り

どんどん店が潰れていく。

うちの前の道はウィーンの中ではかなり活気のあるバス通りで、1.5kmほどある坂道だ。以前はウィーン料理屋も何軒かあったし、古ぼけてはいても商売にはなってそうな店が多かった。 
リーマンショックの後くらいからどんどん店が潰れ始めた。
2、3ヶ月に1軒は店が潰れる。場所によっては次のテナントが入るが、すぐまた潰れてしまうところもあるし、ひどいところはかなり立地のよい角地なのに2年も空き家になったままだ。お陰で夜遅く家に着いて何も食べるものがなくても玄関を出て3分で入れるウィーン料理屋もなくなったし、雨の日も濡れないでパンを買えたパン屋もなくなってしまった。
一番近くにあったBAWAG(労働経済銀行)も最近潰れた。ここはリーマンショックの直前まで日本の国債を買っていて、ユーロ高で一旦破綻しかかって郵便貯金と一緒になったところだ。 新しくできる店と言えばスポーツ賭博付きのゲームセンターばかりだ。

1区でも貸店舗の1割以上が空き家だそうだが、中心部から5キロも離れていないこの辺の通りではその倍くらいは空き店舗になっているみたいだ。ブダペストのラコッツィー通りでも東駅のすぐそばまで半分以上の店がシャッターを下ろしたままだった。

ウィーンに来てもケルントナー通りとグラーベンくらいしか見ていかない観光客や、ザッハーやインペリアルに泊まって証券取引所くらいしか行かない経済評論家にはわからないだろうが、これがヨーロッパでも比較的経済状態のよいとされるオーストリアの現実だ。アメリカの格付け会社の格付けに騙されてはいけない。
日本でこれほどのシャッター通りが続くのは前橋、伊勢崎、甲府などの地方都市の、車でのアクセスの悪い部分だ。 
気になる事実がもう一つある。
8月にウィーンに戻ったら銀行から新しいキャッシュカードが届いていた。
同封の書類に一日あたりの利用額の説明がある。
ATM利用の場合の一日あたりの引き出し限度額は400ユーロでこれは変わらない。問題は窓口利用の場合の引き出し限度額で、以前は窓口なら無制限だった。



(これは1区の伝統あるビアホール、スムフニーの跡)

これが新しいキャッシュカードでは「1日」1100ユーロとされている。
もちろん、私はろくにお金を入れていないから大して困らないが、賢明なる諸兄はこの事が何を意味しているか、すぐにおわかりになるだろう。

これがヨーロッパの現実だ。

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