2011年12月30日金曜日

被曝しました。

場所は福島ではない。山梨の増富ラジウム温泉である。

世界でも有数のラジウム温泉ということで、指揮講習会の会場に近かったこともあり
私が是非にと頼んで寄ってもらった。私はオーストリアのバードガスタイン温泉にも過去数回行っているが、バードガスタインのラジウム温泉は日本のような温泉ではなく、トロッコ列車で坑道の奥にある高温の鉱床に行ってそのサウナのような洞窟に1時間ほど横たわりラドンを吸入する方式となっている(従って入浴はせず、後でシャワーで汗を流す程度)。

バードガスタインのラドンの量は1㎡あたり166500ベクレル(以下Bq)で増富温泉と単純に比較はできないが、増富ラジウム温泉の説明には「ラジウム含有量が非常に多いことで知られる。1リットル中の含有量は12,300マッヘとの記録もある」とあり1マッヘ≒約13.5Bqとのことなので1リットルあたり166050Bqとなる。
これは温泉の建物入り口付近の湧出口、 2.9μSv/hある。同じ日のさいたま市の放射線値0.048μSv/hの60倍以上である。
ちなみに機器はGC-SJ1を使用。
0.1μSv/h以下は測定できないので、ウィーンでもさいたまでも空間線量は計測すると常に0.1μSv/hの表示であった。


温泉に向かい、サーベイメーターのスイッチを入れっぱなしにして宿の方の説明通り温度の高い浴槽と、温度の低いラジウム泉に繰り返し入浴した。はじめに温度の高い浴槽で充分暖まってからかなりぬるいラジウム泉に入り、これを10分ずつくらい3回繰り返して、最後にまた暖かい浴槽で暖まって外に出る。飲泉もしたがはっきり言ってかなりまずい。鉄さびの味がして、少々胸が焼ける。「あんまり飲むと下痢をします」と言うことなので飲泉は100ccくらいにとどめておいた。それでももしデータ通りなら16605Bqの内部被曝である。もちろん、ラドンは数時間で体外に排出されてしまうと言うことだが。

脱衣所で着替えているとサーベイメーターが鳴り出した。見てみると64分で373.6μSvの表示になっている。1時間だと359μSv/h位である。3時間いれば1mSvの被曝。これは脱衣所の数値で、核種がラドン(Rn222) と考えられるので密閉された浴室内の湧出口付近の線量はもっと高い物と推定されるが、他の入浴客に配慮して測定は断念。



さて、私は何故わざわざこんな酔狂なことをしていると思われるかも知れない。私は原発賛成派でも推進派でもない。また、ウィキペディアによると「2005年6月、世界保健機関 (WHO) は、放射性のラドンががんの重要な原因であることを警告した」とある。また「WHO によれば、ラドンガスは空気中でラドン壊変生成物をつくり、これが呼吸気道に沈着し、放出するアルファ線により DNA に傷を付け肺がんを引き起こすとされる。屋外のラドンレベルは通常は非常に低く、屋内ではラドン濃度は高く、鉱山・洞窟や水取り扱い施設または住宅などでは高くなることがある」「アメリカ政府も WHO に準じている。ラドンの安全基準となる量については、いまだ解明されていないといわれる。アメリカの環境保護庁 (EPA) の見解によると、ラドンに安全量はなく、少しの被曝でも癌になる危険性をもたらすものとされ、米国科学アカデミーは毎年15,000から22,000人のアメリカ人が屋内のラドンに起因する肺癌によって命を落としていると推定している」との記載もある。事実なら飲泉どころか近付くのも危険である。

実は3月11日の原発事故の後、私は娘を連れて逃げるかどうか真剣に配慮した。翌週にはヨーロッパ各地から電話やメールで「金を送るからすぐに脱出した方がよい」「うちに住んでかまわないから避難するように」と沢山の友達が連絡してきた。もちろん、ほぼニュースは付けっぱなしだったし、インターネット上で収集できる情報は日本語、英語、ドイツ語の物は可能な限り収集し同じような記事でも他言語でも内容を確認した。原発の状況だけでなく、放射線や放射能に関する情報も読みまくった。3月15日、16日は念のため娘に保育園を休ませ、屋内に閉じこもった(目張りはしなかった)。しかし、最終的に「避難の必要はない。通常の生活を送ればよい」という結論に至ったのは今回サーベイメーターを貸してくれた指揮の生徒が、ドイツのバーデン・バーデンで撮影したこの画像である。

これは湧出口付近などではなく、温泉の建物近くの線量だが7.9μSv/hある。建物の中はもっと高いはずである。

もし、WHOやEPAの見解が事実ならバーデン・バーデンやバードガスタインの温泉施設の従業員、繰り返し滞在して、飲泉したりしている湯治客、付近の住民には有意に肺がんなどの増加が見られるはずである。しかし実際にはそのようなことはない。

実のところ、私はホルミシス効果にも懐疑的である。それほど効果があるならもっとはっきりとした統計学的エビデンスが出るはずである。しかし、逆の証拠もないのだ。WHOやEPAもさることながらドイツ放射線防護協会などという民間機関が食品中の摂取基準を「乳幼児~青少年まで4Bq/kg、成人で8Bq/kg以下とするべき」などと公表していることが知られている。もしその通りなら少なくとも(飲泉だけで)2000倍ほど被曝したことになる。
初めてバーデン・バーデンに行ったのは15年も前だし、それ以来何度も行って合計1ヶ月は滞在しているし行くたびに飲泉もしている(ここの水はまずくないので、かなり沢山飲む)。バードガスタインは飲泉はしないが何度か行っている。ついでに言うと私は86年のチェルノビルの事故の時ウィーンにいて、何も知らされずに1週間過ごしていた。雨も浴びた。

私は「福島で被曝したから癌になる、白血病になる、必ず早死にする、すぐに避難しなくてはいけない」と煽っている一部のマスコミやタレントには非常に不快感を感じている。確かに原発事故は怪しからんし、事故の間接的な原因を作ったのは原発を推進し、安全神話を構築してきた自民党だ。しかし、低線量での健康被害にはまだ確たる証拠は(これも遺憾なことではあるが)ない。確実なのは「癌になるかも知れない、白血病になるかも知れない」と言った不確実な情報がただでさえ避難を強いられている大変多くの人たちの高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクを著しく押し上げていること、多くの子供達が不安におびえていること、不必要な中絶を考えた人たちが沢山いるという事だ。

2011年12月19日月曜日

セミナー ユーロ危機とヨーロッパの今後の展望





この写真はドイツのインフレがピークに達した1924年年に発行された100兆マルク札です。

過去30年間、ヨーロッパでの経験から見た今回のユーロ危機とヨーロッパの今後の展望、通貨、株価、不動産価格はどうなるか、政治、文化、教育はどうなるか、また投資環境や企業の進出先としてヨーロッパにはどんな将来性があるのか、東欧や北欧までを含めて生活者の視点からお話しするセミナーを行いたいと思います。

「杦山さんに是非、生のヨーロッパのお話を聞きたい」という声が多いので今回初めて、
指揮者講習会の合間に音楽以外のテーマで特別セミナーを行うことにしました。

以下の方にお薦めです。

・ヨーロッパに旅行に行きたい、留学や講習会に行きたいけれど、これからユーロはどうなるのか、政情不安は起きないのか、両替はいつしたらいいのかなど不安な方。

・ヨーロッパでの早期教育や、ボーディングスクールに子供を通わせたい、通わせているがこれからユーロ、ヨーロッパはどうなるのか知りたい方。

・円高の今、資産を外貨預金や海外の債券、金などに替えておいた方がよいのではないかと考えている方。

・円高不況で困っている、今後の方向性を模索している方、円高にもかかわらず積極的に輸出を増やしたい中小企業の経営者の方。

・円高だからこそ、ヨーロッパに進出したい、不動産に投資したいなどと考えている方。

音楽を専攻する以前、実は西洋近代史を専攻しようと考えていた私は、奇しくも1982年から足繁く当時の東独にレッスンに通うこととなり、ウィーンに拠点を置きながら東独の消滅するまでの最後の7年間を東西両方の市民の視点で見ることができました。その過程で行われた様々な経済運営上の失敗は、今回のユーロ危機にそのまま見ることができます。

二人の子供をオーストリアで育て、スーパーマーケットで買い物をし、バスや地下鉄、市電で大学に出掛けてヨーロッパ中の音楽家と共演してきた私は、毎回ビジネスやファーストクラスに乗って空港に着いたら、すぐにリムジンで高級ホテルに入り、大企業の会議室で新製品や素晴らしい経営状態についてお話しを聞かされ、一流レストランでだけ食事をされている方とはひと味違ったお話しができると信じています。

・内容 
ドイツを中心にヨーロッパの国々で1914年(第1次世界大戦の始まった年)から今日までに起こった経済危機、インフレ、デフレ、預金封鎖、様々な新通貨の導入とその成功、失敗。今後ユーロとヨーロッパはどうなっていくのか。

第1次世界大戦の終結とドイツ・オーストリア帝国の解体

戦時賠償金とハイパーインフレ

ノットゲルト(地方発行通貨)

インフレの終結、ワイマル共和国

世界大恐慌と高い失業率

ナチスの台頭と一党独裁

ナチスの公共事業と失業者の消滅

第2次世界大戦の終結と預金封鎖

東西の一方的な新通貨導入

東西ドイツと周辺国の経済成長

ドイツ統一と東西マルクの統合

共通通貨エキュー

ユーロの導入で何が起こったか?

ユーロへの不満とリーマンショック

ユーロ崩壊への道

ユーロ崩壊後何が起こるか?

1時間弱の講義ですので全体をかいつまんだものとなります。

日時

1月7日(土) 10:00~12:00

参加費

一般 3,000円 当日会場でお支払い下さい。

学生 無料(但し社会人学生は除く、学生証をご提示下さい)

場所 
新宿三丁目貸会議室 ルーム703

講師 杦山尚槐(指揮者)

2011年12月17日土曜日

杦山尚槐の語るユーロとヨーロッパの今後の展望


皆さんはヨーロッパ、特にドイツを中心とするユーロ経済圏にどんなイメージを持っていますか?「高度に発達した経済先進国」「メルセデス・ベンツやライカのカメラなど優れた技術力」「社会福祉や年金システムの充実」などを思い浮かべる方が多いかも知れません。しかしドイツは高額の所得税の他消費税は20%、年金や保険も日本と同様の危機に瀕しています。旧ドイツ国鉄のように赤字に苦しんでいる大企業も数多くあります。


(上の写真は1923年7月、高額紙幣の印刷が間に合わないため前の年に発行された1000マルク札の上に「10億マルク」と言うスタンプを押したドイツマルクです。わずか3ヶ月後にはインフレはピークに達し、下の写真の「100兆マルク」が印刷されました)。
ドイツは1923年、歴史に残る1兆1千億倍のハイパーインフレを起こし、その後1932年の選挙では「人類史上最も民主的」と呼ばれたワイマル共和国憲法の下で行われた総選挙の結果国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)が第1党に、ドイツ共産党が第2党に選ばれました。翌1933年、ナチスは国会議事堂に放火してこれを機会に共産党を徹底的に弾圧し、ヒットラーは総統に就任して12年にわたる独裁体制が敷かれました。

第2次大戦後廃墟から不死鳥のように復活して再び発展したドイツは、今度は東西冷戦の最前線におかれ人口1800万の「ドイツ民主共和国」(東ドイツ)は1961年東西ベルリンの間に壁を作り始めました。壁はその後東西ドイツのすべての国境線上に築かれ、東ドイツ国境警備隊はそれを超えて西ベルリンや西ドイツに向かおうとした東ドイツ人に対しては発砲するように命じられていました。800名を超える人がこの命令の犠牲となっています。

1989年、この壁が崩れて翌年東西ドイツが再統一されてからまだ21年しか経っていません。また、1923年の経済危機からもまだ90年は経っていないのです。90年、3〜4世代の間に人類の知性や自制心はそれほど進歩するものでしょうか?

そこで、この150年間にドイツを中心としてヨーロッパで何が起こってきたのか、そしてこれからヨーロッパはどうなっていくのか、在欧30年間の経験から語るユーロとヨーロッパの今後の展望、通貨、株価、不動産価格はどうなるか、文化、教育はどうなるか、また投資環境や企業の進出先としてヨーロッパにはどんな将来性があるのか、東欧や北欧までを含めて生活者の視点からお話しするセミナーを行いたいと思います。

音楽を専攻する以前、実は西洋近代史を専攻しようと考えていた私は、奇しくも1982年から足繁く当時の東独にレッスンに通うこととなり、ウィーンに拠点を置きながら東独の消滅するまでの最後の7年間を東西両方の市民の視点で見ることができました。その過程で行われた様々な経済運営上の失敗は、今回のユーロ危機にそのまま見ることができます。

二人の子供をオーストリアで育て、スーパーマーケットで買い物をし、バスや地下鉄、市電で大学に出掛けてヨーロッパ中の音楽家と共演してきた私は、毎回ビジネスやファーストクラスに乗って空港に着いたら、すぐにリムジンで高級ホテルに入り、大企業の会議室で新製品や素晴らしい経営状態についてお話しを聞かされ、一流レストランで食事をされている方とはひと味違ったお話しができると信じています。

「杦山さんに是非、生のヨーロッパのお話を聞きたい」という声が多いので
今回、指揮者講習会の合間に特別行うことにしました。

指揮者 杦山尚槐の語るユーロとヨーロッパの今後の展望
1月7日(土)午前10時から12時まで 新宿駅近くの開場を予定しています。
参加費は3000円程度の予定です。参加を希望される方は直接ご連絡頂けると幸いです。

2011年12月11日日曜日

専門的に指揮の勉強をしたい若者はいませんか?

ベンジャミンは現在19歳。初めて私の講習会に指揮を習いに来たのは17歳の時だった。ウィーン少年合唱団でソリストを務め、ウィーン国立歌劇場やザルツブルク音楽祭での「魔笛」などにも何度も出演した天才少年だが変声期を迎えて以来スランプに落ち込んで目標を失いかけていた。しかし、今は個人レッスンに通ってオーストリアの音大受験を目指している。だが、彼のように10代で専門的に指揮を学んでみようと思う日本人は数少ない。

音楽の世界では早期教育が当たり前で、ピアノやヴァイオリンなら小学校入学前には始めないとプロには成れない、と思い込まれている(実際はそんな事もないが、何らかの楽器、または音楽自体に対する興味を10代前半までに持たなかった場合はうまく行っても愛好者の域は出ない場合が多い)。
しかし、指揮を志す人の場合20代後半くらいで専門的に勉強しようと決意する人が多い。もちろんほとんどの人はすでに器楽や声楽で音大を卒業していたり、長年学生オーケストラ、アマチュアオーケストラの指揮を経験するなどしているが、指揮も器楽や声楽と同じく、知識を要求される場合もあれば技術を要求される場合もある。指揮者に要求される知識はその基礎となる音楽理論や作曲家に関する様々な知識、歴史や美術、文学、美学、哲学、記号論、建築、宗教に関する知識などがより充実している方が解りやすいので、あまり早くから音楽の知識だけを詰め込めばいいと言う物ではないが、指揮の技術そのものと、指揮を学ぶためにはどのような音楽的技術が必要かと言うことについて言えば、なるべく早く自分の進む道を決めるに越したことはない。それに、もし将来自分の才能の限界にぶつかっても、指揮者というのは非常に潰しの効く能力を持っていなくてはならないので様々な可能性がある。

私が恩師、クルト・レーデル氏と共に指揮者の育成を始めてから15年になるが、その当時ウィーン国立音楽大学の湯浅勇次氏が「俺の門下から必ずコンクール優勝者を出す」と言っておられたので私は「私はコンクール受賞者を出すより受講生にアマチュアオーケストラや学生オーケストラ、中学生のブラスバンドでも安心して納得して演奏できる指揮者になって欲しいです」と言ったら「お前ははじめからそんな事言っているからダメなんだ!」と怒られた。確かに指揮を教え始めてからかつて他の仕事ではあり得なかったほど沢山のお礼状や感謝の言葉を頂くようになった。「今までできなかったことが突然できるようになって目からウロコでした」「生徒達が初めて揃って演奏できるようになりました」「アマチュアオーケストラから常任指揮者になってくれるように依頼されました」「初めてプロのオーケストラを指揮しました」などなどで、私も嬉しい限りである。しかし、5年ほどもすると確かに湯浅氏の門下からは続々とコンクールの優勝者が出始めたのである。
よく勘違いされている方がいるのだが、私は湯浅氏のレッスンを見学させて頂いたことは多いが、自分が湯浅氏に師事したわけではない。あのスパルタ式の厳しく生徒を罵倒するレッスンは私には無理だし、はじめのうちかなり諦めていた部分がある。しかし、今後の目標として私も門下からコンクール受賞者を出したいと思い始めた。
そこで皆さんにお願いだが、もし皆さんの周囲に指揮に興味のある青少年がいたら是非ご紹介頂けないだろうか?条件は音楽に熱意があって、何か一つ続けている楽器(または声楽)があること。

日独楽友協会の指揮講習会は社会人の参加費は12万円、25歳以下の大学生の場合8万円だが、1週間毎日約6時間の講義と実習、後半3日間はオーケストラを使った実習もあるので時間数は音大の専攻生が受ける専攻科目の授業1年分にほぼ匹敵する。私立の音大に行けば1年間で約300万、科目履修生でも数十万の授業料を払わなくてはならない。国立の場合は非常に難しい入学試験があるし、入学の段階で完璧な絶対音感、リズム感、ベートーヴェンのソナタ程度のピアノ演奏能力、無調の初見視唱や書き取りができなければ合格できない。

しかし10代で音感の固まっている学生、特に絶対音感と共に平均律がこびりついている学生にオーケストラの指揮をするための様々な訓練をすることはかえって難しい。そこで講習会に指揮を目指す若者のための特別枠を設けた。受講に当たっては音大の器楽科入試レベルのオーディションがあるが、合格すればオーディション受験料はそのまま受講料に振り替えられ、3万円のみで7日間、オーケストラも指揮して行う指揮講習会が他の受講生と同じように受けられる。

詳しくは日独楽友協会のホームページの案内をご覧頂きたい。
http://www.nichidoku.net/

ゴールデンウィークの家族旅行も良いが、もしかしたら人生を変えるきっかけになるかも知れない指揮講習会を受けてみたい、未来の天才少年は皆さんの周囲にいないだろうか?

2011年12月6日火曜日

ユーロ崩壊後のシナリオとは?(まとめ)

1.ユーロの崩壊は人類史上未曾有の金融災害になるだろうから、1929年を遙かに上回るだろうし「リーマンショックの様な」なんて比べるのはナンセンス。

2.ユーロの崩壊にあたっては高債務国から徐々に離脱するなどと言うシナリオは現実的ではなく、ユーロシステム自体が一気に崩壊する可能性が高い。

3.各国は旧通貨を復活させ最初はパリティ(若しくは旧交換率)で交換することになるだろうが復活した旧通貨は高債務国ほど急激に下落する。高債務国からのユーロの流入を防ぐために銀行間の通貨スワップはできなくなり、現金での環流を防ぐために国境が封鎖されたり、荷物検査が行われる。

4.旧通貨からユーロへの移行は十分な告知期間を以て行われたが、旧通貨の流通は1ヶ月のうちに停止され、それ以降は旧通貨を銀行でユーロに交換しないといけなくなった。ユーロから旧通貨への移行も同様な期間で行われるだろうが、移行後は最悪の場合所得証明等がないと換金できなくなるかも知れない。

5.高債務国からユーロが持ち込まれるのを防ぐために流通する紙幣には国ごとのマーキングがされるかも知れない。マーキングのない紙幣は換金を拒まれる可能性がある。

6.ユーロ導入時と違って旧通貨への移行は秘密裏に準備されるため、自動販売機や券売機、ATMのメーカーに前もって情報が伝わらず、これらが長期にわたって使用不能になる可能性がある。

こうした不安を防ぐためにECB及び各国政府は速やかにユーロ崩壊の可能性を認め、同時にプランBの詳細を明らかにするべきだ。