2015年1月24日土曜日

ドイツ料理はなぜまずいのか?

ドイツやオーストリアに旅行した人からよく聞く話に「ドイツ料理はまずい」というものがある。ドイツに行っていたというと「街は綺麗なんですけど料理が塩辛くてまずいですよね」と言われることが多い。

南ドイツでは豚のスネをオーブン焼きにした
シュヴァインハクセが代表的ドイツ料理。
香ばしくパリパリと焼けている。
結論から言うと「ドイツ料理はまずくない。場所にもよるが非常に美味しい」。

確かにドイツ料理は一般には塩辛く、こってりしているものが多い。

新大陸からジャガイモがもたらされるまで、ドイツは冬の間の保存食がとても貧しかった。酢漬けのキャベツやビーツなどの他に、野菜のクズやどんぐりなどをほとんどなんでも食べて育つ豚を晩秋に一気に屠殺して塩漬け肉にしたのだ。
だから、内陸国のバイエルンやオーストリアでは中世以来肉の保存に使われる塩が珍重され、塩を産出するザルツブルクは大きな富を成した。

こうして肉類を長期間保存する方法が発達したため、ハムや塩漬け肉には大量の塩が使われており、本来大変塩辛い。しかし、近世になって肉は一年中供給されるようになったし、牛肉などは日本と違っていつでも低温熟成肉を買うことができるので、大変美味しい。では何故、ドイツに旅行する日本人旅行者の多くが「ドイツ料理はまずい」と感じるのだろうか?それは、日本人の旅行の仕方に問題があるからだ。

同じ豚のスネでもライプツィヒなど北部では長時間煮込んだ
アイスバインと言われる料理が出されることが多い。
こちらは柔らかくてプルプルしている。
個人旅行の場合、レストランに入ればガイドブックを見ながら、あるいは店員にきくなどしてその土地の名物料理やお薦めをゆっくり楽しむ余裕がある。

しかし、日本人のドイツ旅行の殆どが団体旅行、それも「ドイツ5都市一週間の旅、などという無理な日程のものも多い。
食事の時間は追い立てられるように食べなくてはならないので、当然ゆっくり食べている余裕はない。

レストランでメニューをゆっくり見るとわかるが、食事には肉や野菜の種類ごとの分類の他に、その日のランチメニューと「出来あいの食事」(Fretiges Essen)があることがわかる。Schweinsbraten(ローストポーク)やグーラッシュスープのようなものは既に用意されており、客が来たら盛りつけてテーブルに出せばいいようになっている。シュニッツェルも本来オーストリア料理だが今やドイツのどこに行ってもある。そして、オーストリアのきちんとしたレストランでは注文が入ってから肉を切って叩き始めるが、旅行者用の大きなレストランでは冷凍の衣付きをフライヤーに入れるだけだ。肉の質も極めて悪いことが多い。

ローストダックも典型的なバイエルン料理
やむを得ず、パックの旅行に参加する場合はできるだけ食事のついていないパックをお薦めする。そして、ガイドブックを見ながらおすすめのレストランでアラカルトの料理を注文して見てはいかがだろう?

オーストリアとフランスに挟まれた南ドイツのバイエルンやバーデン・ヴュルテンベルクではおいしい食事がたくさんある。

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