2007年4月11日水曜日

悪夢

ソフィアからウィーンに戻り、パルシファルを見て床についたその夜見た夢。

何故か長い旅の末にプラハの芸術家の家の楽屋口に通される。どうやらその日に行われるオーケストラの演奏会を指揮する段取りになっているようだ。

曲は「タラス・ブーリバ」他2曲で奴隷の衣装を付けたアシスタントが、地下の通路を走り回ってはバンダの配置をしている。「タラス・ブーリバ」にバンダなんかあったっけ?それも、何故地下に?

等と思っているうちに舞台に通される。

舞台上では前の練習がまだ終わっていなく、合唱指揮者が何だか合唱団に指示を出している。やむを得ず、講習会の時のようにロジェの前の方に陣取る。

ところが、間髪を入れず「さあ、始めて下さい!」と声がかかる。

思わずロジェから振り始める私。しかも曲はプログラムに入っていない民謡調の2拍子の曲だ。

なあに、出だしが一旦始まってしまったが、聞いたところ2拍子の民謡調の曲、きっとスメタナのポルカかなんかだろう。初見でも振れる。

「そんなところから振らないで!舞台に出て!」ダメ出しが入る。無理もない。オケに失礼だ。それにしてもこんな曲をやるなんて聞いていないぞ!誰かスコアを!

素早くスコアを受け取ってよく見る暇もなく舞台に出る。とにかくオケをなだめなくちゃ!なんで、そんなに急に舞台上が入れ替わって練習が始まったのかもわからず「えー、淑女、紳士の皆さん(当然ドイツ語)」と始めるが、「挨拶なんかいいから早く練習をやれ!いつまで待たせるんだ!」と飛び交う怒号。

やれやれ、はじめからオケを怒らせてしまった。

仕方なく指揮台に乗りスコアを譜面台に載せる。

それにしても、なんて狭い指揮台なんだ!奥行きは20cm程しかない。そしてその向こうにぐらぐらした古い木の譜面台が立っている。譜面台の上の板が自分の腹にぶつかる。それにしても、今日はなんて腹が出ているんだろう!

我ながら驚きつつ、後ずさりして揺れる譜面台を押さえ、舞台の縁に乗った奥行き20cm程の指揮台の上で譜面台を安定させようとする。

その時(演奏会なのに)舞台と客席の間はピットが奈落まで降りているのがわかる。奈落で作業灯が薄暗く光る。

今まで自分が安定させようとしていた、ゆらゆらする木の譜面台にしがみつき、同時にスコアを広げる。

しかし、広げたスコアはバルトークのあの!

譜面台の揺れがひどくなる。もはや振り子のようにどうしても止める事ができなくなり、自分も譜面台にしがみついたまま揺れる。曲が進む。変拍子の場所が現れる。奈落の底が見える。脂汗が流れる。

その時「ああ、今日自分はここで死ぬのだ」という確実な意識がわき起こる。譜面台が更に傾く、自分ものけぞって譜面台につかまる。譜面台が床から浮き上がる・・・・。

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