ギリシャのデフォルトとユーロ離脱についてはすでに多くの人がブログ等に書いているが、以前にも巨大経済圏、EUの行方やユーロ崩壊後のシナリオとは?にも書いてきたので、今後の問題点についていくつか指摘しておきたい。
巨額な負債を抱えたギリシャの離脱自体はユーロ圏にとってプラス要因であるが、ギリシャが支払不能に陥ればドイツ、スイス、オーストリアのいくつかの銀行は巨額の損失を被ることになる。
マーケットハック、ギリシャが「月曜日には銀行を開けない」と宣言 プレッシャーはメルケル首相への筆者はデフォルトしたアルゼンチンについて書いているが、今回のギリシャの場合、まったく別の問題がある。アルゼンチンはデフォルト後も自国通貨のペソを使い続けることが出来たが、ギリシャはユーロを離脱すればいつまでもそのまま自国通貨としてユーロを使い続けることはできない。いずれかの時点でギリシャは自国通貨であるドラクマを再導入し、ユーロを交換しなくてはならない。ギリシャがユーロを離脱してドラクマに戻る場合、通貨の切り替えのためには膨大なコストがかかる。ギリシャはこのコストを自己負担して新紙幣と硬貨を導入しなくてはならないが、この新ドラクマが難しい問題を提起することになる。
まず第一に、ユーロ導入の際と違いかなり無計画に起こった今回のデフォルト騒ぎとユーロ離脱にあたり、ギリシャは恐らくまだドラクマの紙幣や硬貨を準備していない。だとすると、ドラクマが用意されるまでの数カ月なりの間、ユーロは流通する唯一の通貨として使われ続けなくてはならない。しかし、ECBの側からすると債務を償還しないギリシャの国内に流通しているユーロは本来はECBが没収しなくてはならないものであり、ギリシャがいつまでもこれを自由に使い続け、ギリシャの富裕層がユーロを使って資産を国外に移転させるのを手をこまねいて見ている訳にはいかない。したがって資金の移転について厳しい制限をかけてこれを監視し、国境や空港を封鎖してでも違法な資金の移動を防がなくてはならない。なので、ギリシャへの出入国は厳しくチェックされる他ギリシャからのユーロの持ち出しには制限がかけられる事になるだろう。ギリシャから持ちだされるユーロは最悪の場合没収され、ギリシャ国内で流通するユーロには大きく「Greek」とか「G」とかいうスタンプが押されるかもしれない。こうしたユーロはギリシャ以外の国ではドラクマとしてしか通用しなくなるので、事実上紙切れになる。また、ユーロの両替には「どこで手に入れたユーロなのか」などを示すための両替や支払いの証明書の提示が必要となるかもしれない。
第二に、導入と同時にドラクマはユーロに対して急激にその価値を下げ続けることになる。ドラクマが復活する場合、旧ドラクマのユーロに対しての固定レートを復活させる場合と、1ドラクマをとりあえず1ユーロとパリティ(等価)で交換し始める2つのパターンが考えられるが、いずれにしても何の担保もなく信用の裏付けのないドラクマは導入と同時に急激に下落を始め、場合によってはハイパーインフレに近い様相を取るかもしれない。だとすると、誰がいったい持っていれば数日で紙切れになってしまうかもしれない自国通貨とヨーロを交換したがるだろうか?
第三に、ギリシャ国内のATMやクレジットカードの利用は当座限度額が設定されるか、あるいはまったく不可能になるかもしれない。しかしその後ギリシャはATMや自動販売機、両替機などの導入コストを抑えるため、新ドラクマの大きさやデザインを可能な限り現在流通しているユーロに近いデザインとするだろう。そしてこのことがさらに大きな問題を引き起こす可能性がある。すなわち、導入と同時に大きく下落するであろう新ドラクマがユーロ圏の国に持ち込まれれば、その国のATMは現在のユーロ紙幣と新ドラクマを判別することができなくなる可能性があるのだ。ECBとしてはこの事態は絶対に避けたいだろうが、もともと500ユーロ紙幣の製造原価が5セントと言われているほど、安く作られているユーロの紙幣や硬貨には偽札や偽硬貨が大量に出回っていて、商店などでは今でも500ユーロ、200ユーロの受け取りを拒否するところが多いほどだ。もし、ギリシャが国内のATMや自動販売機でそのまま使える新ドラクマをユーロそっくりに作って導入すれば、数カ月後には100ユーロ紙幣の10分の1しか価値のない100ドラクマ紙幣がユーロ圏に持ち込まれ、100ユーロとして使われることになりかねない。そうなれば、各国の銀行や鉄道などはATMや自動販売機の使用を中止せざるを得ず、各国の経済は大混乱となることだろう。
まもなく日本の外為市場が開くが、世界のマスコミと金融関係者が東京市場でのユーロの動向に注目している。もしヘッジファンド再びがユーロを売り叩こうとすれば実際にギリシャのデフォルトがユーロ圏に与える影響とは比べ物にならない売り圧力がユーロにかかるかもしれない。
巨額な負債を抱えたギリシャの離脱自体はユーロ圏にとってプラス要因であるが、ギリシャが支払不能に陥ればドイツ、スイス、オーストリアのいくつかの銀行は巨額の損失を被ることになる。
マーケットハック、ギリシャが「月曜日には銀行を開けない」と宣言 プレッシャーはメルケル首相への筆者はデフォルトしたアルゼンチンについて書いているが、今回のギリシャの場合、まったく別の問題がある。アルゼンチンはデフォルト後も自国通貨のペソを使い続けることが出来たが、ギリシャはユーロを離脱すればいつまでもそのまま自国通貨としてユーロを使い続けることはできない。いずれかの時点でギリシャは自国通貨であるドラクマを再導入し、ユーロを交換しなくてはならない。ギリシャがユーロを離脱してドラクマに戻る場合、通貨の切り替えのためには膨大なコストがかかる。ギリシャはこのコストを自己負担して新紙幣と硬貨を導入しなくてはならないが、この新ドラクマが難しい問題を提起することになる。
まず第一に、ユーロ導入の際と違いかなり無計画に起こった今回のデフォルト騒ぎとユーロ離脱にあたり、ギリシャは恐らくまだドラクマの紙幣や硬貨を準備していない。だとすると、ドラクマが用意されるまでの数カ月なりの間、ユーロは流通する唯一の通貨として使われ続けなくてはならない。しかし、ECBの側からすると債務を償還しないギリシャの国内に流通しているユーロは本来はECBが没収しなくてはならないものであり、ギリシャがいつまでもこれを自由に使い続け、ギリシャの富裕層がユーロを使って資産を国外に移転させるのを手をこまねいて見ている訳にはいかない。したがって資金の移転について厳しい制限をかけてこれを監視し、国境や空港を封鎖してでも違法な資金の移動を防がなくてはならない。なので、ギリシャへの出入国は厳しくチェックされる他ギリシャからのユーロの持ち出しには制限がかけられる事になるだろう。ギリシャから持ちだされるユーロは最悪の場合没収され、ギリシャ国内で流通するユーロには大きく「Greek」とか「G」とかいうスタンプが押されるかもしれない。こうしたユーロはギリシャ以外の国ではドラクマとしてしか通用しなくなるので、事実上紙切れになる。また、ユーロの両替には「どこで手に入れたユーロなのか」などを示すための両替や支払いの証明書の提示が必要となるかもしれない。
第二に、導入と同時にドラクマはユーロに対して急激にその価値を下げ続けることになる。ドラクマが復活する場合、旧ドラクマのユーロに対しての固定レートを復活させる場合と、1ドラクマをとりあえず1ユーロとパリティ(等価)で交換し始める2つのパターンが考えられるが、いずれにしても何の担保もなく信用の裏付けのないドラクマは導入と同時に急激に下落を始め、場合によってはハイパーインフレに近い様相を取るかもしれない。だとすると、誰がいったい持っていれば数日で紙切れになってしまうかもしれない自国通貨とヨーロを交換したがるだろうか?
第三に、ギリシャ国内のATMやクレジットカードの利用は当座限度額が設定されるか、あるいはまったく不可能になるかもしれない。しかしその後ギリシャはATMや自動販売機、両替機などの導入コストを抑えるため、新ドラクマの大きさやデザインを可能な限り現在流通しているユーロに近いデザインとするだろう。そしてこのことがさらに大きな問題を引き起こす可能性がある。すなわち、導入と同時に大きく下落するであろう新ドラクマがユーロ圏の国に持ち込まれれば、その国のATMは現在のユーロ紙幣と新ドラクマを判別することができなくなる可能性があるのだ。ECBとしてはこの事態は絶対に避けたいだろうが、もともと500ユーロ紙幣の製造原価が5セントと言われているほど、安く作られているユーロの紙幣や硬貨には偽札や偽硬貨が大量に出回っていて、商店などでは今でも500ユーロ、200ユーロの受け取りを拒否するところが多いほどだ。もし、ギリシャが国内のATMや自動販売機でそのまま使える新ドラクマをユーロそっくりに作って導入すれば、数カ月後には100ユーロ紙幣の10分の1しか価値のない100ドラクマ紙幣がユーロ圏に持ち込まれ、100ユーロとして使われることになりかねない。そうなれば、各国の銀行や鉄道などはATMや自動販売機の使用を中止せざるを得ず、各国の経済は大混乱となることだろう。
まもなく日本の外為市場が開くが、世界のマスコミと金融関係者が東京市場でのユーロの動向に注目している。もしヘッジファンド再びがユーロを売り叩こうとすれば実際にギリシャのデフォルトがユーロ圏に与える影響とは比べ物にならない売り圧力がユーロにかかるかもしれない。
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