ドイツ語で自然はNatur 芸術はKunst だけど、この2つはヨーロッパ人には明らかに対立概念だ(並列概念ではない)。
ウィーンには有名な自然史博物館 Naturhistorisches Museum と
美術史博物館 Kunsthistorisches Museum マリア・テレジア広場を挟んで対称に並んでいる事でもわかる。
「自然と解け合った芸術」なんて物は無い。
Natur とは自然の力でできたもの、Kunst とは必ず人間の意志が働いて、自然には存在しない物が作られた時に言う。
だから Kunst は芸術だけど Kunstlich は「人工的な」という意味だし、
Kunststoff だと化学繊維(物質)になる。
難しい前置きはどうでも良いが、昨日、今日と2日連続で Oberlaa に行って来た。
http://www.oberlaa.at/
どうにも暑くてたまらないので、サウナに入れば相対的にその後の外気が涼しく感じられるだろうと言う、非常に人工的に自然に立ち向かう方法。
この町外れの丘の向こうにある温泉は、市内では最も広い公園の一つの面していて、南側の斜面ではあるがすでに市街地より2、3°涼しい感じがする。
日本ではなるべく自然な感じの露天風呂などが好まれるが、ここのサウナなどは非常にKunstlich。
しかし、やはり長い歴史のあるウィーンの事、サウナ一つとってもきちんと作法がある。
利用前にシャワーを浴びるなど、当たり前の事は壁に説明が貼ってあるが、はじめの頃よくわからなかったのはサウナに入ってからの作法である。
今日は昼間だったのでさほど混み合っていないが、小さいサウナだとほぼ満員になることもある。もちろんとなりの人とふれあうなどはもってのほか。
ふれあいの湯などとというおぞましいネーミングは日本だけである。
当たり前の事だが、中のベンチは上段に行くほど熱い。もちろんベンチは熱くないが、そこに座っていると熱くなるのである。従って、自分の体調や、好みに従って、ちょうどいい場所を確保しなくてはならない。
しかし、あんまり早くサウナに入ると、ドアが閉まる頃にはすでに苦しくなってくる。時々最上段で一番はじめから寝ている猛者もいるが、やはりヨーロッパ人はアフリカ探検をしても生きて帰って来られたのがわかる。
さて、ランプが赤に変わると誰かがドアを閉めるのだが、時として太ったおじさんがドアのしまる前から入り口に立ってタオルを回していることがある。
こういう時は割とついている時だ。念のため、このおじさんは係員などではない。つまり、常連客であり、サウナにこだわりのある、やる気のあるボランティアである。こうしたおじさんは、毎日の様にサウナに通って、タオルの振り方を研究しているのである。
しかし、そこまでの猛者でなくても、ドアが閉まると通常必ず誰かが立ち上がる。桶の水を柄杓ですくってサウナストーブの上の溶岩に掛け、大きな備え付けの布を使って一同を扇ぐのである。
日本のサウナにはこの Aufgus と言う物が無いおかげで、快感は何分の一しか無い。というか、まあ言い方は適切かどうかわからないがオルガスムがないのである。
第一に溶岩に水をかける場合、部屋の大きさ、人数、どんな人がいるかによって、掛け方は大幅に変わってくる。部屋が小さければ少し掛ければよく、お年寄りばかりだったらあまり急激に掛けては誰かが心臓マヒを起こすかもしれない。逆に若い常連ばかりで盛り上がっているなら、桶の半分くらいは一度に掛けてしまわないと、皆の期待に添えなくなる。
ここまででもかなりの修行を要するのである。しかし、後半の布の振り方はますます奥の深い物があり、これはまさに Kunst 、技の世界である。当然布の振り方によって風の強さ、スピード、衝撃、風の起こる範囲などが違うから、風を受ける方の感じ方も全く違ってくる。
日本のサウナの様にただ中に入って座っているだけでは、サウナストーブの熱を受けるだけだが、溶岩に水を掛け、徐々に、あるいは一気に蒸発した蒸気を布で肌に当てると、瞬間的に鳥肌の立つ様な快感が起こる。この事を私は Oberlaa で初めて体験したのである。
よく、力任せに振っているレスラーみたいなオヤジがいるが、風はちっとも回らなかったりする。
昨日はなかなか上手な常連のオヤジがいて、ブラボーも出ていた。
今日は1回目はおばさんだったが、柔らかい風ではじめたかと思うと、後半突然上段に仁王立ちになり、扇風機の様にサウナ全体の空気を回転させる名人芸を演じたのだった。
今日の2回目は隣のオヤジがボランティアに立ったが、回転する布が2回ほど私の頭に当たった。
しかし、誰が立っても人種、年齢、性別に関係なく、まんべんなく風が当たる様に配慮するあたりも芸術的である。
久しぶりなので、昨日も今日もサウナは2回だけにして、あとは蒸し風呂に5分ほど入った。体重計に乗ったらだいぶ軽くなっている。
プールやジャグジーも一通り入ったが、やはり一人で行くと時間が余ってしまう。気温が25°以上の日に適用されるSonnentarif って言うのもあったがそれは一日中入っている人用の割引だった。
外に出るとやはり効果絶大に涼しい。今日は市電に乗らず、丘を越えて公園の反対側のバス停まで歩いた。公園の緑がまぶしく、丘の上からは遠くにアルプスの山々も見えた。
家に帰っても同じ気温とは思えないほど涼しい。
芸術は偉大だ。
ウィーンには有名な自然史博物館 Naturhistorisches Museum と
美術史博物館 Kunsthistorisches Museum マリア・テレジア広場を挟んで対称に並んでいる事でもわかる。
「自然と解け合った芸術」なんて物は無い。
Natur とは自然の力でできたもの、Kunst とは必ず人間の意志が働いて、自然には存在しない物が作られた時に言う。
だから Kunst は芸術だけど Kunstlich は「人工的な」という意味だし、
Kunststoff だと化学繊維(物質)になる。
難しい前置きはどうでも良いが、昨日、今日と2日連続で Oberlaa に行って来た。
http://www.oberlaa.at/
どうにも暑くてたまらないので、サウナに入れば相対的にその後の外気が涼しく感じられるだろうと言う、非常に人工的に自然に立ち向かう方法。
この町外れの丘の向こうにある温泉は、市内では最も広い公園の一つの面していて、南側の斜面ではあるがすでに市街地より2、3°涼しい感じがする。
日本ではなるべく自然な感じの露天風呂などが好まれるが、ここのサウナなどは非常にKunstlich。
しかし、やはり長い歴史のあるウィーンの事、サウナ一つとってもきちんと作法がある。
利用前にシャワーを浴びるなど、当たり前の事は壁に説明が貼ってあるが、はじめの頃よくわからなかったのはサウナに入ってからの作法である。
今日は昼間だったのでさほど混み合っていないが、小さいサウナだとほぼ満員になることもある。もちろんとなりの人とふれあうなどはもってのほか。
ふれあいの湯などとというおぞましいネーミングは日本だけである。
当たり前の事だが、中のベンチは上段に行くほど熱い。もちろんベンチは熱くないが、そこに座っていると熱くなるのである。従って、自分の体調や、好みに従って、ちょうどいい場所を確保しなくてはならない。
しかし、あんまり早くサウナに入ると、ドアが閉まる頃にはすでに苦しくなってくる。時々最上段で一番はじめから寝ている猛者もいるが、やはりヨーロッパ人はアフリカ探検をしても生きて帰って来られたのがわかる。
さて、ランプが赤に変わると誰かがドアを閉めるのだが、時として太ったおじさんがドアのしまる前から入り口に立ってタオルを回していることがある。
こういう時は割とついている時だ。念のため、このおじさんは係員などではない。つまり、常連客であり、サウナにこだわりのある、やる気のあるボランティアである。こうしたおじさんは、毎日の様にサウナに通って、タオルの振り方を研究しているのである。
しかし、そこまでの猛者でなくても、ドアが閉まると通常必ず誰かが立ち上がる。桶の水を柄杓ですくってサウナストーブの上の溶岩に掛け、大きな備え付けの布を使って一同を扇ぐのである。
日本のサウナにはこの Aufgus と言う物が無いおかげで、快感は何分の一しか無い。というか、まあ言い方は適切かどうかわからないがオルガスムがないのである。
第一に溶岩に水をかける場合、部屋の大きさ、人数、どんな人がいるかによって、掛け方は大幅に変わってくる。部屋が小さければ少し掛ければよく、お年寄りばかりだったらあまり急激に掛けては誰かが心臓マヒを起こすかもしれない。逆に若い常連ばかりで盛り上がっているなら、桶の半分くらいは一度に掛けてしまわないと、皆の期待に添えなくなる。
ここまででもかなりの修行を要するのである。しかし、後半の布の振り方はますます奥の深い物があり、これはまさに Kunst 、技の世界である。当然布の振り方によって風の強さ、スピード、衝撃、風の起こる範囲などが違うから、風を受ける方の感じ方も全く違ってくる。
日本のサウナの様にただ中に入って座っているだけでは、サウナストーブの熱を受けるだけだが、溶岩に水を掛け、徐々に、あるいは一気に蒸発した蒸気を布で肌に当てると、瞬間的に鳥肌の立つ様な快感が起こる。この事を私は Oberlaa で初めて体験したのである。
よく、力任せに振っているレスラーみたいなオヤジがいるが、風はちっとも回らなかったりする。
昨日はなかなか上手な常連のオヤジがいて、ブラボーも出ていた。
今日は1回目はおばさんだったが、柔らかい風ではじめたかと思うと、後半突然上段に仁王立ちになり、扇風機の様にサウナ全体の空気を回転させる名人芸を演じたのだった。
今日の2回目は隣のオヤジがボランティアに立ったが、回転する布が2回ほど私の頭に当たった。
しかし、誰が立っても人種、年齢、性別に関係なく、まんべんなく風が当たる様に配慮するあたりも芸術的である。
久しぶりなので、昨日も今日もサウナは2回だけにして、あとは蒸し風呂に5分ほど入った。体重計に乗ったらだいぶ軽くなっている。
プールやジャグジーも一通り入ったが、やはり一人で行くと時間が余ってしまう。気温が25°以上の日に適用されるSonnentarif って言うのもあったがそれは一日中入っている人用の割引だった。
外に出るとやはり効果絶大に涼しい。今日は市電に乗らず、丘を越えて公園の反対側のバス停まで歩いた。公園の緑がまぶしく、丘の上からは遠くにアルプスの山々も見えた。
家に帰っても同じ気温とは思えないほど涼しい。
芸術は偉大だ。
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