2015年3月1日日曜日

海外旅行のおみやげについて(1)

発言小町の「海外旅行で『頼まれた買い物』は小額なら『おみやげ』なの?」という質問が話題となっていたので私の意見。

私自身は海外旅行で基本的に自分と家族以外におみやげは買って行きません。

何故かと言うと、第1に比較的頻繁に海外に行く度におみやげなど買っていたら、お金がいくらあっても足りないし、荷物もおみやげでいっぱいになってしまうから。

第2に誰に何をおみやげに買おうなどと考えて、ちょうどいいものを探していたら時間がいくらあっても足りないから。

私のように1回の滞在が1ヶ月を超えることが多いような旅行でもそうなのだから、典型的な日本人の海外旅行のように1週間で何箇所も回るような旅行の場合、買い物のための時間が観光の時間を圧迫してしまうに決まっています。

私に言わせると、結婚式で高いお祝儀をもらった後の新婚旅行とか、高額なお選別をもらったのでなければ、おみやげなど買って行くべきではありません。

日本のような島国で、しかも海外旅行に行くことがまだまだ一般的ではなく、とても贅沢なことだと思われている国では、海外旅行に行ってきた人がおみやげを配るという行為は、ややもすると自分が海外に行ってきたことをひけらかす、いやらしい行為のように取られかねません。だからといって近所づきあいや友人や職場での人間関係によっては、海外旅行に行って何もおみやげを買ってこないのはすごくケチなように思われることもあるようです(だから日本の人間関係はウェットでめんどくさい!)。

しかし、私のように長年ヨーロッパと日本を行ったり来たりしていても、本当にいいおみやげと言うのはなかなか思いつかないものです。

まずは、その土地独自のもので、日本では手に入らないような気の利いたものというのはなかなかありません。ヨーロッパの場合、美味しいワインは各地にありますがよほど目利きでないとラベルとヴィンテージだけで美味しくて日本で売っていないようなワインを選ぶのは難しいです。まあ、ヨーロッパで50ユーロ以上出しておけば、そんなに外すことはないのですが外れ年の有名ドメインより当たり年の無名ヴィンツァーの方が往々にして美味しかったりします。

ハムやソーセージは美味しいですが日本には持ち込み禁止で、最近の麻薬取締犬はBSE騒ぎ以来肉類もくんくんするように仕込まれていますから、成田で取り上げられる可能性が大です。同様に乳製品も美味しいですが傷みやすいし、保冷パックでもないと運べません。

私は時々弟子にスコアを頼まれたりしますが、これはお互い様で私が頼むこともあるので、見つかる限り買っていきます。ですがこれは緊急時のみで、値段の方は大阪のササヤの方が安かったりします(特にベーレンライター原典版など)。

海外旅行に行った人がおみやげを買って帰らなければならないような習慣になったのは、実はパックの旅行の際に、長時間免税店に立ち寄らされるからです。旅行社は免税店から売上の何割かをキックバックされます(なので、免税店は通常の店や市内のスーパーより高いです)。よく「職場のみんなにおみやげを買って行かなくちゃ」と言って免税店で小さなものを沢山買い込んでいる人がいますが、パックの旅行でもなく、無理やり免税店に連れて行かれるわけでもないのに、無理をして職場全員におみやげを買って行く必要なんて有りません。本人も「これはバラマキ用」なんて言って買っているので、日本でも売っているようなチョコレートなどをもらってもちょっと知っている人なら嬉しくないし、日本でも売ってないようなものはもっとどうってことない場合もあります。

1週間ほどしかない滞在で、お土産物屋やデパートを見ている暇があったら、ウィーンなら一つでも多くの美術館や博物館を見て、少しでも多くのコンサートやオペラに行くべきです。ここは「音楽の街」ですから!

って言うと、身も蓋もないのでおみやげに良さそうなものを少しだけ挙げると。

1.私の一番のおすすめはシュタイアマルク産のフェルトの室内履き。靴型のとスリッパ型のがあるけど、どちらもシュテファン寺院の裏手のManner Shopの隣の民族衣装やさんで売っている。フェルトの室内履きはよく売っているけどどれもペラペラで、裏は革ないし合皮の物が多い。でもこれは靴底までフェルトで通気性がよく、冬暖かい上に夏でも素足でそのままはいてべたつかず、何年も履けます。そして、汚れたらウール洗剤でよく洗ってよく洗剤をすすぎ(必ずウール洗いのコースで洗うこと!)日向で3日位乾かす(こちらなら温水ヒーターの上に乗せておけば1日で乾く)。


2.デーメルの「割れチョコ」レジの向かいの狭い部屋の方にあります。割れチョコは普通のの何分の1かの値段だけど品質は同じだし量が多いです。そして、普通に可愛い袋に入っています。種類は3種類ほどだけどMilkaやRitterよりもきめが細かくて口の中で上品に溶ける。

3.建築関係などの専門書や写真集。分厚くて写真がきれいな上、図版も多いので皆さんにぜひ勉強してもらいたいです。

ドブリンガーの古楽譜コーナーは残念ながら昨年長い歴史を閉じ、ベルリン、ミュンヘンとともに大きな古楽譜屋はすべて閉店してしまいました。楽譜の買い方の話はそのうち改めて書こうと思います。

次回は「海外に住んでいる人が海外旅行に来た人を案内するのはすべて自腹?」というのを書こうと思っていますのでお楽しみに。