2006年8月13日日曜日

ユーロ高と物価高

困った、困った。
またまたのユーロ高である。

2000年8月にブダペストに住んでいた時は、1ユーロが約90円だった。その時、、概ね生活に必要な家賃、食料品など、いろいろな物の値段を計算してみた。

すると、だいたい以下のような結果だった。
ウィーンの物価は概ね日本の都市部の半分
ウィーンの物価はブダペストの概ね3.5倍

従ってブダペストの物価は概ね日本の7分の1。

ユーロ導入後、あらゆる国であらゆる物が値上がりした。
バーデン・バーデンのホテル・ベーク 100マルク→110ユーロ
ミュンヘン駅の有料トイレマクリーン 50ペニッヒ→60セント
バイエルンチケット 40マルク→25ユーロ
外食(大人夕食、飲み物、デザート、チップ込み一人概ね)30マルク→25ユーロ

1ユーロは1.95マルクのはずなので、これがいかなる便乗値上げかわかると思う。それなのにユーロ自体もこの6年間で90円から150円に値上がり!

従って円で計算するとだいたいこうなる。
バーデン・バーデンのホテル・ベーク 4500円→16500円
ミュンヘン駅の有料トイレマクリーン 23円→90円
バイエルンチケット 1800円→3750円
外食(大人一人概ね)1350円→3750円
この値上がりが、ヨーロッパで生活したり旅行したりする日本人にとって以下に壊滅的かよくわかる。
もちろん、日本の自動車メーカーなどはとてもよく売れて喜んでいるだろう。

しかし、ユーロ導入まで元の通貨とユーロ換算と並記されていたのに、ドイツやオーストリアでは導入後の並記を義務づけなかった。

ドイツでは多くの商店やレストランが「マルク」と書いてあった値札を「ユーロ」につけ直しただけだった。

このような作られたインフレがサラリーマンや年金生活者を直撃したのは言うまでもない。
私はこの便乗値上げをくい止められなかったヨーロッパ各国の政府と、平気で便乗値上げしたヨーロッパ人にひどく失望した。 そもそも、言語も政体も歴史も違ういくつもの国が共通の通貨を導入するという人類初めての試みである。

スーパーマーケットが「98円!」などど言って物を売るぐらい「数字の外見のマジック」というのは人間の目をごまかすことははじめからわかっている。
いったいヨーロッパ各国はどのようなシミュレーションをしてきたのだろうか。

ユーロ紙幣は日本の紙幣に比べるとかなり粗悪品で、紙もすぐに傷んでしまうし、偽造も簡単にできるようだ。その上最高額紙幣は500ユーロ、75000円なので、すでにクロアチアなどで大量に偽造されて持ち込まれているらしい。

旧フランなどもそうだったが、やはり安っぽい紙幣ではインフレになるのも無理はない。
「インフレ圧力が強まっている」として、ヨーロッパ中央銀行は今年になってからすでに4回の政策金利の値上げをしている。これではユーロ高になるのは無理もないが、反面このことはヨーロッパの景気に暗い影を投げかけている。

ここのところの原油高はユーロ高でも追いつかないくらいだから、エネルギーの値上がりはとどまる所を知らない。その上各国の「環境税」が追い打ちをかける。

金利が上昇局面にある日本と違い、このままだとヨーロッパはインフレと不景気が同時進行するスタッグフレーションを迎えるのではないか。

その時、EU脱退を主張する各国の民族主義者達はどう反応するだろうか。
旧大陸にも未来はない。